研究課題/領域番号 |
63510027
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
倫理学
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
市倉 宏祐 専修大学, 文学部, 教授 (20083678)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 微積分学 / 不可分 / 無限 / 予定説 / ジャンセニズム / 無際限 / 数学的帰納法 / 三つの秩序 / パスカル / 不可分幾何学 / カヴァリエリ / 無限小 / 特性三角形 / 無限分割 |
研究概要 |
微積分学の成立は近代数学史上における最も重要な出来事のひとつであるが、本研究はパスカルの不可分幾何学の操作がこの出来事においていかなる意味をもち、またいかにして可能になったのかといった問題を、彼のジャンセニズムとの関係において明らかにせんとしたものである。成果としては、次の4点があげられる。 1.カヴァリエリの不可分幾何学の操作は計算法としては極めて有効なるものであったが、不可分の概念をめぐって多くの疑問を呼び起こしていた。本研究は、パスカルがこの概念の暖味さをいかにして克服し、この幾何学にどのような理論的根拠を与えたかを明らかにした。 2.不可分幾何学の核心の操作は、無際限に分割された不可分図形をどのように操作して有限な数値の尊出に結ぶかという点にあるが、本研究では、パスカルの具体的な数学的操作に即して、この幾何学における彼の操作が当代のほかの不可分幾何学のそれと如何なる点で同一であり、また如何なる点で独自であるかを明らかにした。 3.もともと、あらゆる数学者は一方では当代に流通している数学的手法をそのまま受けいれると共に、他方では必ず当人独自の手法をあみだしてゆくものである。この意味では、如何なる数学的操作も何らかの仕方で垂学者個人の世界観とかかわりをもっている。本研究はこの観点からパスカルの数学的操作を支える彼の思想的根拠を明らかにした。 4.当代は近代自然科学の成立期であるが、同時に宗教戦争が真剣に戦われた時代でもある。当時の数学者たちといえども、決してこの時代状況と無縁ではありえない。本研究は、パスカルの数学的操作が彼のジャンセニズムの信仰とかかわりのあることに注目して、とくに彼の三つの秩序の思想と彼のジャンセニズムの予定説との関係を根本的に明らかにした。
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