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東洋染織美術史上における経錦から緯錦への転換に関する考察

研究課題

研究課題/領域番号 63510036
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 美術史
研究機関京都国立博物館

研究代表者

切畑 健  京都国立博物館, 学芸課, 普及室長 (80000363)

研究期間 (年度) 1988
研究課題ステータス 完了 (1988年度)
配分額 *注記
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード経錦 / 緯錦 / 古代中国思想 / 古代インド思想 / 氣 / 崑崙山 / 蓮華 / 宝祖華
研究概要

この研究は古代中国の染織において特殊な世界をうかがわせる経錦がやがて緯錦へと変化する要因を明らかにすることを主たる目的として行ったものである。古代中国の経錦はすでにきわめて完成された様相をしめす諸例が、前漢墓から発見され、その成立についてはさらにさかのぼる時間の存在が推測される。ところで、経錦という織技の特色に加えてこれらの錦に見る意匠はまた注目すべき諸点をそなえている。すなわちそれらは古代中国の思想を視覚化したものである。例えば『山海経』に述べるところの〈崑崙山〉であり、〈弱水〉であり〈鳳凰〉〈沙裳〉である。また『淮南子』が記すところの、天地創造の根元たる〈氣〉が虚空に充満する趣を帛面にあらわし、さらに〈氣〉が万物を生成する過程をうかがわせるように、山岳とも見え、龍ともみえる形象を織りあげている。しかしこの古代の経錦にも次第に中国固有の思想以外の要素が加わりはじめる。それは西域の国々を経て来た西方の主題で〈連珠円〉〈生命の樹〉〈狩猟〉〈含綬鳥〉などに、インドの天地根元の思想で落すことの出来ない〈連華〉である。ところでこれら西方の思想による諸主題は単に意匠を東方にもたらしたばかりではない。すなわち経錦というきわめて制約の多い織物とは異なった、緯錦の導入をはたしたと考えられる。経錦から緯錦への移り変りは具体的にその時期を断定することは、この研究をもってしてもなお解明は不充分で、今後も資料の調査を継続するが、少なくとも隋・唐期が押えられる。隋・唐の染織品の中国における遺例はほとんどうかがえないが、その縮図ないしはそのままが存在するとしても過言ではない。我正倉院におびただしい例が見られる。それらは緯錦で、意匠は蓮華と中国唐代人の熱狂的な牡丹好みとが打重って生まれたといえる〈宝祖華〉のあふれるような華麗な世界を現出したのである。

報告書

(1件)
  • 1988 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 切畑健: 三彩. (1989)

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書

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公開日: 1988-04-01   更新日: 2016-04-21  

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