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MRIによる脳損傷部位と高次機能障害との対応に関する神経心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 63510048
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 心理学
研究機関東京大学

研究代表者

河内 十郎  東京大学, 教養学部, 教授 (30083710)

研究期間 (年度) 1988 – 1989
研究課題ステータス 完了 (1989年度)
配分額 *注記
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
キーワード純粋失読 / 左半側失書 / 脳梁幹 / 純粋語ろう / ウェルニッケ領野 / 離断症候群 / 脳損傷 / 病巣部位 / MRI / 失読失書
研究概要

最終年度は純粋失読(pure alexia)の検討を続け、非古典型を中心とするII例の神経症状と病巣部位から、純粋失読の発現機序を論ずることができた(研究成果報告書参照)。この成果は、従来の主張の確認の範囲内のものではあるが、これまでのような腫瘍例や動静脈奇形例における外科的手術と脳梗塞例におけるX線CTによる病巣局在ではなく、MRIによる精密病巣局在の結果明らかにされたものである点に意義がある。
他にさまざまな病状を持つ多数の病例の検討が行われたが、その中から重要なものをあげれば以下の通りである。
1.失行を伴わない左半側失書例(left nnilatelal agraphid without aprdxja):9年間の教育歴を持つ74才右利きの男性で、右手の書字には問題はなく、左手は、失行がなく仮名が書け、漢字の模写の可能なのに漢字が書けない。MRIの正中失状断像で、脳梁幹の後半分に低信号域が認められ、脳梁の部分的切断によって漢字の選択的な失書が起こることから明らかにされた。従来漢字と仮名の漢字システムは、左半球内で別個の局在を示すことが明らかにされているが、本症例は、半球間伝導路でも両者が互いに独立していることを示唆するものである。
2.純粋語ろう例(pure word deafness):55才右利き男性で、失語がなく、環境音、音楽の認知はほぼ正常なのに、言語の聴覚的理解と復唱に著しい障害を示す。MRIにより、左側頭頂上葉皮質下に低信号域が認められ、Wernicke領野はほとんど正常であった。この病巣から、左聴放線と右聴覚野から脳梁を介する交連線維の双方が連合性に離断されたため、Wernicke領野が聴覚情報から孤立して純粋語ろうが生じたものと考えられた。
本研究では、MRIが離断症候群の実証に有効なことを示している。

報告書

(3件)
  • 1989 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1988 実績報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (13件)

  • [文献書誌] 河内十郎: "左右大脳半球の機能分化" 総合リハビリテ-ション. 16. 845-853 (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 河内十郎: "大脳機能の性差" バイオメカニズム学会誌. 13. 134-141 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 河内十郎: "脳損傷による認知過程の障害" テレビジョン学会技術報告. 13. 7-12 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 河内十郎: "半側空間失認 神経科学レビュ-2" 医学書院, 443 (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 河内十郎: "脳のはたらきからみた心 ニュ-ロンからこころを推測する 心のありか(シリ-ズ人間と文化3)" 東京大学出版会, 256 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Juro Kawachi: "Sex difference in higher brain function." Journal of the Society of Biomechanisms. 13. 134-141 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Juro Kawachi: "Disorders of cognitive process in brain damage." ITEJ Technical Report. 13. 7-12 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Juro Kawachi: The Mind : From the View Point of Brain Function.The University of Tokyo Press, 22 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 河内十郎: "大脳機能の性差" バイオメカニズム学会誌. 13. 134-141 (1989)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 河内十郎: "脳損傷による認知過程の障害" テレビジョン学会技術報告. 13. 7-12 (1989)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 河内十郎: "脳のはたらきからみた心-ニュ-ロンからこころを推測する心のありか(シリ-ズ人間と文化3)" 東京大学出版会, 22 (1989)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 河内十郎: 神経科学レビュー. 2. 252-279 (1988)

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書
  • [文献書誌] 河内十郎: 総合リハビリテーション. 16. 845-853 (1988)

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書

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公開日: 1988-04-01   更新日: 2016-04-21  

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