本研究は、教師の教授行動と生徒の学習行動のパターンについて多面的に解析し、教授・学習行動をコンピューター診断する基礎資料を得ることを目的とした。その中でも、今回は教師の学習、指導観に焦点を当てて調査し、分析した。 〈対象〉愛知県・名古屋市(全区にわたる)の現職の教師(算数・数学、国語、英語を教えているか、免許を持っている)、約900名を対象とした。年齢は20代から50代まで幅広くお願いした。 〈調査内容〉教師の一般的な勉強(学習)観、授業の仕方(教材の準備、授業中での授業の進め方など、授業後の対応)、家庭学習についての内容を含んだ調査である。さらに、できる・できない生徒、やる気のある・ない生徒に対する指導観について同じ項目で質問した。 〈解析方法〉次のステップによって解析を進めた。(1)まず、一般的な学習観についての項目分析(因子分析)し、3つの尺度によってパターン解析(SPSSのデータパターン解析)を行った。経験年数、性別、教科の違いによるパターンの出現頻度を比較検討した。(2)教師の指導観についても、まず、因子分析を使い項目分析し、尺度(授業中の指導の7因子、家庭学習の2因子を抽出した)を構成した。続いて、データパターン解析によって指導のパターンを類型化する求めた。特に、経験年数、性別、教科によってパターンの出現がどう異なるか、できる・できない生徒、やる気のある・ない生徒に対しても解析を加えた。ここまでの分析はほぼ終わり、教科内容や教師の年齢によって指導観がかなり違うことが明らかとなった。今後、児童の学習法さらには、担任の教師の観念としての指導法と実際とのズレなどを検討し、教師の指導の診断に活用できる資料を得る。これは、ATIの研究であり、学習や指導法がコンピューターによって即座に診断できれば、実践的な意味は十分にある。
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