研究概要 |
1.種々の問題行動のうち、とくに登校拒否の問題を中心にして、わが国及び諸外国の文献や報告書等の資料を収集し、従来からの伝統的な心理療法に基づく治療法と、新しく注目されている行動論的並びに認知的・行動論的アプロ-チについて、その内容と予後等について比較検討した。その結果,(1)登校拒否には従来からの神経症的タイプのほか、種々のタイプが含まれること,(2)治療のほとんどが伝統的な心理療法に基づいており、そのため、治療に長期間を要し、治療には専門的な知識や技能が必要であるために親や教師の積極的な関与が困難であること,(3)再登校の指導を中心的な目標とする行動論的並びに認知的・行動論的アプロ-チが必要であること,(4)登校拒否と診断する客観的基準に欠けていること,(5)家庭や学校における早期の適切な対応が必要であり、教師や親のための親切なガイドブックが必要であること,などが明らかになった。 2.行動論的アプロ-チの基本的な考え方及び技法を一般に紹介し解説する目的で、日本心理学会大会(1988年、於、広島大学)のさいに「登校拒否の行動論的アプロ-チ」というテ-マでシンポジウムを開催しさらに日本行動分析学会大会(1989年)於、広島大学)のさいに「登校拒否の行動分析的アプロ-チ」というテ-マで公開シンポジウムを開催した。さらに、教師や親のためのガイドブックとして「登校拒否:再登校の指導」(ナカニシヤ出版,1991年)を刊行した。
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