1.コメニウス研究の記念文献をかなりの程度収集した。(1)戦前ドイツで発行されていた雑誌"Monatsbefte der Comenius-Gesselschaft"(現物は日大所蔵)、(2)戦前チェコで発行され現在も体裁を変えて刊行されているコメニウス研究機関誌"Acta Comeniana"(3)戦前発行されたコメニウス著作州"Veskere spisy jana Amosa komenskiho"(4)刊行継続中のコメニウス全集"OPERA OMNIA Jan Amos komensky"(5)コメニウスの生誕地ウヘルスキーブロートの「コメニウス博物館」から発行されている雑誌"stadia comeniana et historica"(6)西ドイツのボッフムから刊行されているコメニウス研究シリーズ"schriften rur Comeniusforschung veroffenthchung der Comeniusforschungsstelle im lnstitut fur padagogik der Ruhr-Universitat Bochum"(7)コメニウス著作選集"Comenius Aasgewahlto Werke"などである。 2.日本国内のコメニウス研究はこの10年間にかなりの進展をみせた。この間に発表された研究論文は約80点あり、それらを収集し一覧表を作成した。 3.高知大学教育学部研究に「コメニウスの『総勧告』研究ノート(その1)、(その2)を発表し、(その3)を投稿中。『構勧告』の中心部分である「汎知」思想について日本教育学会で発表した。コメニウス思想は、狭い意味での教育学だけでなく、政治思想、社会改革思想の面からも貴重な歴史的遺産であることがますます明らかになった。 4.井ノ口淳三氏と協同で、コメニウスの伝記の共同執筆を始めた。現在継続中である。 5.今後はコメニウスの「汎知」思想をさらに解明すること、また「総勧告』の付録に付けられている「汎知事典」も視野に入れた研究を進めること、現在形成されつつあるコメニウス研究者の連絡網を密にし、共同研究を発足させること、などが課題とされている。
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