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八・九世紀におけるフランク王国の統一と解体のメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 63510214
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 西洋史
研究機関愛知県立大学

研究代表者

日置 雅子  愛知県立大学, 文学部, 助教授 (40086187)

研究期間 (年度) 1988 – 1989
研究課題ステータス 完了 (1989年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1988年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワードフランク国家の統一と解体 / 統一理念と分割理念 / フランキア / フランキアの一体性 / ヴェルダン条約 / フランス、フランケンの名称 / カロリング国家の統一と解体 / 国家の一体性とフランキアの一体性 / メルセン条約 / カロリンガー皇帝権 / 帝国の統一と教会の統一
研究概要

フランク・カロリンガ-王国の統一と解体がヨ-ロッパ世界の形成にいかなる意味を持つのか、この問題の解明の一端として本研究では「フランキア」という地理的名称に注目し、その概念の変遷を政治史の中に投影して追究してみた。それから得られた知見はおよそ以下の三点に要約される。第一には、フランキアというフランク部族の中核地帯を指した地名が、やがて王国内の民族ないし国家統合の象徴的・国制的概念としての意義を付与されていった点である。カ-ル大帝(768ー814)治下に入って多部族・多民族国家に拡大した王国の制度的統合が志向された時、フランキアは、部族を超越した統一的な領域概念として「フランク人の王国」の代替的名称となってゆく。殊に同大帝以降に称揚された国家の「統一理念」は、その根幹がまさに「フランキアの一体性」の維持に集約されていたことが明らかとなった。第二に、フランク王国の解体にとって、フランキア不分割という国制上の原則が崩れることの意味である。それは、ヴェルダン条約(843)によるフランキア三分割によって再び複数の分国を生み出し、さらにはメルセン条約(870)による中部フランクの再分割によって、「帝国の座」たるこの中枢地帯がもはや諸分国を纏める紐帯的役割を果たさなくなったことに他ならない。第三は、中部フランキアのかかる趨勢について、当地の王権の支柱であった中部フランク聖界は、その中核であるケルン・トリア両大司教の長期(863ー870)に亙る廃位によって統率を欠き、その政治的領域的解体を阻止しえなかったことである。以上の帰結としてフランキアの名は、東西両フランク王国に乖離・占有されることによって統合の役割を失う。その代わり、矮小化された形で西フランクの統合理念の核となり、やがてその継承国家に「フランス」という国名を付与し、他方東フランク・ドイツでは、国家権力中枢の地を指す「フランケン」の地名として機能していった。

報告書

(3件)
  • 1989 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1988 実績報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (15件)

  • [文献書誌] 日置雅子: "1988年度歴史学研究会大会報告批判;五十嵐「国王巡察使制度とフランクの国制」批判" 『歴史学研究』. No.588. 47-48 (1988)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 日置雅子: "Der gegenwartige japanische Forschungsstand uber die frankische Verfassungsgeschichte" 『愛知県立大学文学部論集・一般教育編』. 37号. 1-21 (1989)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 日置雅子: "中世ヨ-ロッパ王権の適格性" 『歴史の理論と教育』. 77. 22-31 (1990)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 日置雅子: "カロリンガ-・フランクにおける「フランキア」の統一と解体(その1)" 『愛知県立大学文学部論集・一般教育編』. 38号. 1-75 (1990)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 日置雅子: "カロリンガ-・フランクにおける「フランキア」の統一と解体(その2)" 『愛知県立大学文学部論集・一般教育編』. 39号. (1991)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
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      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Masako Hioki: "Critical Reviews on the Reports presented at the 1988 Annual Meeting of the Society, Medieval History Section ; Critical Review on the Report of Mr.Igarashi "Institution of Missi dominici and the Frankish Constitution"" Journal of Historical Studies. No.588. pp.47-48 (1988).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Masako Hioki: "Der gegenwartige japanische Forschungsstand uber die frankische Verfassungs-geschichte" Bulletin of the Faculty of Literature, Aichi Prefectural University. No.37. pp.1-21 (1989).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Masako Hioki: "Idoneitas of the European Medieval Kingship" Theory and Education of the History. No.77. pp.22-31 (1990).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Masako Hioki: "Unification and Dissolution of "Francia" in the Frankish Carolingian Kingdom (No.1)" Bulletin of the Faculty of Literature, Aichi Prefectural University. No.38. pp.1-75 (1990).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Masako Hioki: "Unification and Dissolution of "Francia" in the Frankish Carolingian Kingdom (No.2)" Bulletin of the Faculty of University. No.39 (1991).

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1989 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 日置雅子: "「中世ヨ-ロッパ王権の適格性」" 『歴史の理論と教育』. 77. 22-31 (1990)

    • 関連する報告書
      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 日置雅子: "「カロリンガ-・フランクにおける「フランキア」の統一と解体」(その1)" 『愛知県立大学文学部論集・一般教育編』. 38号. 1-75 (1990)

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      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 日置雅子: "「カロリンガ-・フランクにおける「フランキア」の統一と解体」(その2)" 『愛知県立大学文学部論集・一般教育編』. 39号. (1991)

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      1989 実績報告書
  • [文献書誌] 日置雅子: 歴史学研究. No.588. 47-48 (1988)

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書
  • [文献書誌] 日置雅子: 愛知県立大学文学部論集・一般教育編. 37号. 1-21 (1989)

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      1988 実績報告書

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公開日: 1988-04-01   更新日: 2016-04-21  

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