研究課題/領域番号 |
63510243
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
池上 洵一 神戸大学, 文学部, 教授 (20039960)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 中外抄 / 富家語 / 藤原忠実 / 談話記録 / 話題 / 連関 / 情況 / 場 / 口伝 / 説話伝承 / 説話文学 / 説話の発想 / 話題の連関 / 故実説話 |
研究概要 |
『中外抄』と『富家語』は、平安時代最末期の有力貴族、藤原忠実の談話記録である。本研究の成果は次の諸点に集約できる。 第1に、難解な本文を読解して各条に分かち、内容をわかりやすく整理したこと。 第2に、各条に記された談話の発想との連関について、談話の「場」との相関関係を探り、さらに、「場」の背景としての歴史的社会的状況や忠実をめぐる個人的状況を調査して、それらの状況と話題との相関関係について考察したこと。特に、それをわかりやすく図示したこと。 第3に、周辺諸作品への影響等を明らかにしようとしたこと。 本研究の中心は第2の点にあり、両書の全部の条について、逐条的にきわめて明解に解説したが、これは従来なされたことがない、まったく新しい試みである。 また、保元の乱と平治の乱が両書の談話の内容に与えた影響についても明らかにした。特に、保元の乱は彼の境遇に大きな変化をもたらしたために、談話内容に少なからぬ影響を与えたことを具体的に指摘した。 さらに、『富家語』の文中に記された年紀としては応保元年(1161)が最後であるが、その翌年の正月ごろの話題と推定できる記事があることを指摘し、通説よりもさらに1年下って、最終的には彼の没年である応保2年(1162)の談話まで含んでいるらしいことを明らかにした。 なお、両書のテキストクリティ-クが未完成のため、当初予定した索引は基礎稿の段階にとどまった。
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