1.昭和61年度および62年度におこなった研究の総まとめをするためにまず62年度の中間報告をさらに整理した。 2.フォルジャー・シェイクスピア図書館のブレイニイ博士から提供された新情報をもとに、調査資料を41点追加し、本研究の精度の向上に努めた。(資料の保存状態のために調査できなかったのは、225点のうちわずか11点のみとなった。) 3.前年度の中間報告に盛り込むことの出来なかった2つの問題点を解決した。すなわち、ショート印刷所の営業全期間にわたる事業成績の推移の実態解明および「仲間印刷」の実態解明である。 4.事業の推移については最盛期の仕事量が1日平均約1.2枚であることを突きとめ得た。これは、先年完了したトマス・クリード研究において確認した数値とほとんど同じであることを発見し、当時の最大能力であろう、と推論した。 5.「仲間印刷」についても、研究資料の乏しいこの問題をクリード印刷所との比較で考察した。 6.以上のごとく、ショート研究の国内外における状況のなかでは、間違いなく最先端をゆく成果をあげることが出来たので、別添のような冊子形式の英文による報告書(194ページ)を作成して公刊することにした。 7.しかし、植字工の分析からシェイクスピア本文の解明を試みるまでには至らなかった。それについては、今後も研究を続ける予定。
|