研究概要 |
本研究があきらかにしようとしたのは、わが国の分的資格制度が,どのような法的構造をもっているかということ、およびその法構造のもとでどのような問題が(法的だけではなく、現実的にも)生じているかということであった。一方多種多様な公的格制度のすべてを全体的にとらえるためには、これを歴史の中でとらえることの必要性を感じ,資格制度全体につきその沿革を檢討をおこなった。その結果、わが国の資格制度は、(1)弁護士,医師の二大資格に代表される専門職制度の,国家による導入および展開と歩調を合わせて展開し来たつたこと,しかして、(2)その間に資格制度には,法的に見て【○!A】身分法,【○!B】業務法の、二つの法領域が展開し来たつたこと、(3)職種によっては、さらに自治的団体の組成に関する【○!c】団体法および,その活動の結果に対して問われる【○!d】責任法の二領域の展開が見られる職種も存在すること、(4)しかし,実定法上の制度としては、前三者が資格法の主要領域であるといえること,寺の点があきらかとなった。多くの資格法は(専門職であると否とを問わず)基本的には,この基礎的枠組によって把握し分折をおこなうことが可能であると考える。次に、それぞれの資格においては、さまざまな・しかも解決が着しく困難な(法的および現実的な)問題が発生しているのであるが、その中でもっとも かつ深刻な問題であるのは、【○!b】の業務法の領域に属する・いわゆる業務独占(そしてこのことから生じたと見られる)業務競合あるいは業務抵触の問題である。本研究では,それらの中で歴史的に見ても複雑かつ解決因難な,宿年の課題ともいうべき・医鏡領域の各職種問に存する問題について檢討を加えることにした。残された問題も多く、他の領域(例えば法の領域)にも同様な難問が存在しているが、今後ともこの研究を継続し、その実態をあきらかにしたいと思っている。
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