• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

ナチス私法学と民法典改正

研究課題

研究課題/領域番号 63520016
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 民事法学
研究機関東京大学

研究代表者

廣渡 清吾  東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (60025153)

研究期間 (年度) 1988
研究課題ステータス 完了 (1988年度)
配分額 *注記
800千円 (直接経費: 800千円)
1988年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワードドイツ法アカデミー / ナチス民族法典 / 所有権 / 公私法一体論
研究概要

ナチス期の法学・法実務の研究について、近年の西ドイツにおける発展ぶりはめざましいものがある。報告者の研究課題に即していえば、「ドイツ法アカデミー・民族法典編纂委員会」の議事録・一件資料が刊行された。また研究書としても、Anderson、"The Academy of Geimaun Law 1933-1945"(1987)が克明である。これらの新しい資料や研究を目を配りながら、本年度は「所有権」の展開を中心的な研究対象としフォローした。ナチスの初期には、若い学者たちによって、「権利」概念そのものに対し、根本的な批判が提起される。その内容は、権利の私益的性格を非難し、民族共同体に対する義務を内在化させるべし、というものであった。実際に、ナチス期の土地法法制を検討してみると、そこでは所有権の自由は極めて大きく制限された。イデオロギー(理論)的にも、実定法制度においても、所有権に化体されるべき個人の私的自由は、この時代にはもはや正当なものとはみなされなかった。
これらをうけて、ドイツ法アカデミー・土地法委員会は、ドイツ民法典903条の「自由で排他的な所有権」規定に代えて、所有権者に「民族共同体の福利と健全な民法感情」にしたがって土地(目的物)を管理すべき義務を明定すべきことを提案した。さらに、1942年に発表された「民族法典草案」においては、所有権は「国民経済的な目的設定の範囲内」でのみ、利用し、処分しうるものとされた。ナチス期の法理論の一つの特徴として、公法、私法の融合、共同体法の提唱があげられるが、土地法委員会および民族法典の表象した「所有権」は、まさに、公的目的への私的利益の全面的従属、私的所有者への公的義務賦課という構造を示すことによって、公私法一体論を、理論的には反映したものであったといえよう。所有権論と所有権制度の相互関連を検討することは、今後の重要な課題である。

報告書

(1件)
  • 1988 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 廣渡,清吾: 土地法の歴史と理論.

    • 関連する報告書
      1988 実績報告書

URL: 

公開日: 1988-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi