研究課題/領域番号 |
63520022
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
松本 博之 大阪市立大学, 法学部, 教授 (70047380)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 民事訴訟 / 事実認定 / 経験則違背 / 証明度 |
研究概要 |
本研究は、現実の民事訴訟の勝敗を左右することが多い事実認定をめぐる諸問題、ことに経験則の適用のあり方、および証明度の問題に検討を加え、適正な事実認定の確保に寄与することを目的とする。 第一に、経験則違背等、原審の事実認定の違法を理由に原判決を破棄する上告審判決を収集し分析した。その結果、毎年数件の経験則違背を理由とする破棄判決があり、しかも定型的事象経過に基づく高度の蓋然性を示す経験則の違背でなくても原判決の破棄が行われており、事実認定に対する上告審の関心の高さが窺われる。多数の裁判例の分析・整理は、現在も続行中である。 第二に、民事訴訟において裁判所が事実の証明ありとみなすことができる証明度はいかにあるべきかという、いわゆる証明度の問題を検討した。この問題については、西ドイツ民事訴訟法学がここ20数年来、精力的に研究を重ねているので、ドイツの学説を検討するとともに、東大病院ルンバール事件における最高裁判所の判例、および、これに影響を受けた下級審裁判例を検討対象とした。最高裁判例は、科学的な因果関係の存否が争われる場合にも高度の蓋然性が認定されれば証明として十分であり、しかもその判断は道常人判断を基準とするとしており、証明困難の救済を目ざすものであるが、他方、その説示は必ずしも明瞭でない部分を含んでおり、それが下級審の実務に相当影響を及ぼしていることが明らかになった。 第三に、本研究は事実認定にかかわる他の問題、たとえば、要件事実論、職権調査の概念についても一定の成果をもたらした。
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