研究課題/領域番号 |
63530022
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済事情・政策学
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小野 旭 一橋大学, 経済学部, 教授 (60054318)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 企業内賃金構造 / 人的資本仮説 / 生活費保障仮説 / 終身雇用制度 / 企業間労働移動 / 企業内労働移動 / 国際比較 / 職種間移動 / 年功賃金 / 人的資本 / 内部経験 / 外部経験 / 年令別生活費保障 / 日韓比較 |
研究概要 |
本研究は、日本および韓国について利用可能となった『賃金構造基本調査』のマイクロデ-タに基づき、企業内賃金構造の決定要因に関する軽量経済学的分析並びにそれに関連した企業内労働移動の比較分析を目的とするものである。 通説によれば、企業内賃金構造は一般訓練および特殊訓練に依存し、企業特殊的熟練の形成は同一企業への長期勤続によって修得されるため終身的雇用を必要とする。さらに終身雇用制度の下でさまざまな構造変化に適応していくためには、企業内での労働移動が活発に行なわれねばならない。本研究はこの通説を念頭に置いて進められ、以下のような諸発見が得られた。 1.企業内賃金構造は外部経験年数や内部経験年数のような人的資本指標よりも年令要因により強く依存している。年令要因をどう解釈するかは議論の分かれるところであるが、私はこれを年令別生活費の保障を示すものと考える。 2.年令による賃金の支払いは流動的な外部労働市場を予想させる。これらは日本の経験とは相反するが、韓国の経験とは両立する。この事実から私は、日本の外部市場が非流動的なのは年功賃金のためではなく、別個の制度的装置(例えば子飼い優先の管理職登用の慣行)が存在するためと考えられる。 3.通説の予想と異なり、わが国の企業内労働移動が他の国々より高いと信ずべき根拠は乏しい。国際比較は、現在のところ、日本・韓国・アメリカの3カ国における企業内職種間移動に限られるが、これによれば日本を企業内移動率の高い国と特徴づけるのは困難である。終身制の下での構造調整は、周辺的労働者の雇用・新規就業者の採用・早い退職年令による高い労働回転率等に依存すると考えるほかない。
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