研究概要 |
本報書は4章からなる。第1章「公企業形態論の論点」では、公企業形態論は市場メカニズムと関連した政府の政策における性質の違いを基礎として組立てられるべきこと,しかも第三セクタ-,ことに混合企業は「産業政策」の手段であって,ここでは企業原理が優先されるべきことが主張されている。第2章「第三セクタ-の歴史的展開」では,「第三セクタ-とはなにか?」をみたあとで、わが国における混合企業の歴史的発達とその諸特徴を概観し,ついで第二次大戦後における第三セクタ-の推移及び現段階の第三セクタ-を(1)開発型(a.産業基盤型,b.都市経営型,c.民活型),(2)管理型(a.減量経営型,b.行政ソフト化型)に分類している。さらに1.一定の収益条件の必要性,2.寄り合い所帯的性格,3.官僚の天下り,マンネリ化あるいは汚職の温床になりうる危険性を指摘しつつ,第三セクタ-の今後のあり方として1.守備範囲の適正化,2.責任体制確立のための諸方策,3.規制は政策的コントロ-ルに限定し,経営のコントロ-ルは排除されるべきことを提言している。 第3章「第三セクタ-の原型」では,(1)開発型については民間賃金の活用,管理型については減量経営がわが国の場合第三セクタ-の主要な動機であることが例示されている。また,(2)政府の公共事業や財政負担,地方自治体の直営工事によって第三セクタ-がささえられているケ-スが多い。第三セクタ-にするだけでは経営は改善されないのでなかろうか。好結果をあげている「都市経営型」の場合立地条件のよさが好影響している。第4章「現段階の第三セクタ-」では,1986年の民活法と第三セクタ-の関連がとりあげられており,ここでは「開発型」について特徴と問題点が例示されている。ただしリゾ-ト開発,産業振興及び福祉等については触れることができなかった。他日を期したい。
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