研究課題/領域番号 |
63530038
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済史
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長岡 新吉 北海道大学, 経済学部 (90000679)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1988年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 満州国国務院臨時産業調査局 / 農業実態調査 / 満州産業開発五ヵ年計画 / 満鉄経済調査会 / 農民層分解 / 講座派理論 / 王道楽土イデオロギー / 満州支配 |
研究概要 |
年度内の研究の力点を資料の収集におき、北大をはじめ他大学・研究所の所蔵資料の調査と複写に多くの時間と費用を充てた。現在は資料収集を継続するかたわら収集資料の分析を行ないつつある。最終的研究成果の発表までにはなお時間を要するが(中間報告として別記論考を予定)、現在までに検討作業を終えた諸点を新知見をまじえて列挙すれば、つぎのようになる。第一に、満州国国務院総務庁編 『政府公報日訳』 同 『満州国官吏録』 (各年版)、同 『一般会計歳入歳出予算各目明細書』 (各年度)、国務院実業部編 『実業部月間』 等によって農業実態調査(康徳元・3年度)の実施主体であった実業部臨時産業調査局(以下"産調"と略記)の設立経緯、人員構成と経費細目の推移を明らかにしえたことである(その結果調査関係者の戦後の回顧談にいくつかの誤りがあることが判明した。)第二に、上記資料および 『満鉄調査月報』 その他資料の分析を通じて、産調がわずか2年半で廃止され農業実態調査が中断された事実と「満州産業開発五ヵ年計画」の策定との間に深い関連性があることを予想させる手掛りをつかんだことである。「五ヵ年計画」関係資料(一部収集済み)の検討も併せ行ないながらこの点を実証し、産調の農業実態調査が満州国の農政(満州支配の一局面)とどう関わりどう関わらなかったか(調査関係者の間でも意見が分かれている問題点)を解明する作業が引続き進められる。第三に、この調査の歴史的意義を別角度から明らかにするためその思想的背景にも目を向け、満鉄経済調査会の大上末広グループのこの調査方法立案における主導的役割を確認しつつ、調査の計画と実施過程に表われた「科学とイデオロギー」問題を捕捉する端諸をつかみえたことである。各種の実態調査報告の綿密な検討と聴取り調査を通じて調査参加者を可能なかぎり特定しながら調査経過を復元する作業が、この目的のために今後続行される。
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