研究概要 |
1.特性的初期面に対するコーシー問題の研究 解析函数の範畴でのコーシー問題に関しては,コーシー・コワレフスキーの定理が基本的である。それは初期面が非特性的であるとき,解の存在と一意性を主張している。我々は初期面が特性的であるときに,方程式の階数より1つ少ない初期値を与えて,解の存在と一意性が成立するための十分条件を与えた。そこでは,特性係数とよぶ不変量が重要である。重さm-6(mは方程式の階数)のフックス型は特別な場合になる。また応用として,超函数(D^')解の一意性に関する一定理をも与えた。 2.発展方程式に対するコーシー問題のH^∞-適切性に関する研究 発展方程式に対するコーシー問題を函数空間H^∞で考える時,適切であるためには,特性方程式の根が非正であることが必要であることが知られている。我々は,時刻t=0で退化する場合に,ニュートン固形より定まる副特性方程式を定義し,その根が非正であることがやはり必要なことを示した。 3.シュレーディンガー型方程式に対するコーシー問題の研究 発展方程式の中でシュレーディンガー型方程式は特異な位置にあり,放物型などとは違った特色をもつ,我々は,リーマン多様体上でコーシー問題を考え,L┣D12┣D1適切なるための必要条件を,マスロフ理論を展開・利用しながら与えた。さらにその必要条件に,もう一つの条件を付加するとコーシー問題が適切になることも示した。 4.数値等角写像の研究 等角写像は多くの場合(実用上は)数値計算を必要とする。代用電荷法に基づく計算法を提案し,特に二重連結領域の等角写像,ニュートン法を併用した逆等角写像の数値計算を行ない,満足すべき結果を得た。差分法への応用が次の一つの課題である。
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