研究概要 |
(1)(Mn_<1-x>Tix)Sb、(Fe_<1-x>Cox)_7S_8の磁気momentの組成変化をNMRで求めた。前者では、x=0.8oまでその値はほとんど変化せず、このことはこの系の磁気的臨界組成近傍でspin-glass相が存在することと密接に関連している。他方、後者のx=0.2でCoがmometを持つことを見い出した。Nias型化合物中でCoがmomentを持つことを示したのは最初であるが、この系ではCoが〔high c〕状態にあることによるものと考えられ、この実験結果は格子定数と磁性の強い相関の存在を支援するものである(IntCont,Magn-Phase Transで口頭発表、J.Magn-Magn(1990)掲載予定)。 (2)NiAs型化合物の磁性と格子定数の間に強い相関があることを指摘した。これまで〔high c〕および〔low c〕に属する化合物の間の擬二元系の格子定数と磁性との関連を調べてきた。しかし、高圧下で直接格子定数を変化させ、これらの関係を調べることがこの問題に関してより直接的な研究手段となる。そこで、M_7X_8(M=Fe,Co,X=S,Se)について、ダイヤモンドアンビルセルを用いて高圧下でのX線回折の実験を行った。その結果、特にCの圧変化の特徴は以下の通りである。 1._-FenS_8,FenSe_8(ferri)は共にp〜60Kbarで明らかに折れ曲がりがあり、ここである種の相転移が起こったと考えられる。2._-Co_7S_8,Co_7Se_8(Pauli,para)はp〜100kbarまで(1)でみられたような異常はみられない。3._-FenS_8Se_8の高圧相(>60kbar)の圧縮率は、Co_7,Co_7Se_8のそれにVI<、低圧相(<60kbar)のそれと大きく異なる。 これらの結果は、常圧で〔high c〕状態にあったFenS_8,FenSe_8が高圧下で〔low C〕状態に転移したことを示す。この高圧相の磁性を調べるために、さらに高圧下でのMossbauer効果等の測定を計画している。
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