研究課題/領域番号 |
63540264
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 講師 (20172629)
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研究分担者 |
佐々木 亘 東邦大学, 理学部, 教授 (90011436)
梶田 晃示 東邦大学, 理学部, 教授 (50011739)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | アンダーソン局在 / 金属-非金属転移 / 不純物半導体 / 極低温比熱 / 臨界現象 / 臨界指数 |
研究概要 |
現在不規則性を含む系における電子の局在の問題が注目され多くの実験、理論的研究がなされており、今まで別個に取り扱われて来た金属と半導体が統一的な立場で理解できる可能性が出てきた。しかし金属-非金属転移点および局在領域の電子状態については、具体的な描造が出来上がっておらず、それを構築するためには、十分均質かつ細かく制御された系での電子スペクトルに関する情報が必要とされている。本研究担当者は3次元アンダーソン局在がみられているSi:Pに中性子照射と焼鈍を施すことにより、電子濃度と不規則ポテンシャルが良くコントロールされた、試料を製作し、金属-非金属転移点で局在長および零度における電気伝導度が、転移点をはさんで、スケーリングおよび繰り込み群方程式を用いた理論から予想された臨界的振舞いを示すことを確認してきた。これらを基に転移近傍の電子状態を明らかにするため、^3He-^4He希釈冷凍器用の比熱測定装置を製作し、これと本研究において購入した電磁石用電源、別途購入の電磁石を組合わせ、零磁場及び磁場中の比熱を測定した。試料のキャリア濃度は2.2×10^<16>cm^<-3>の局在領域のものを使用した。その結果、零磁場中では1.0K以上では極微量ではあるが電子の連続スペクトルからの温度に比例する電子比熱が、1.0K以下の温度領域では0.5Kまで殆ど変化せず0.5K以下で弱い温度依存性T^p(p〜0.5)を示す異常な電子比熱のenhancementが観測された。磁場を印加することにより1.0K以下の温度領域でみられていた電子比熱のenhancementのピークがより鮮明になり、電子比熱はschottky型の温度依存性をみせた。これらの電子比熱異常の原因を明らかにする為、エントロピーを計算したところ、零磁場、磁場中ともに15%以内の一致をみせた。磁気天秤で測定した帯磁率と総合的に判断した結果、この電子比熱の異常は中性子照射により生成されたアクセプター準位にある電子が原因しているものと判明した。
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