研究概要 |
1.これまでの経緯:15年前から野外測定を行うとともに、これまでに重力測定を行った公的機関を訪ね、交渉し、可能なところから測定デ-タを提供して頂き、それらを入力し、「数値的コンパイル」(デ-タ処理法の統一、測定値の吟味、誤デ-タの除去、使用しやすい形態への変換など)を行った。この結果、国内における公的機関による重力測定値の90%は編集できたと判断される。ただし、一、二の機関からは、諸般の事情により全面的な資料の提供を受けることが出来なかった。 2.本研究の意義:重力異常は、基本的には「地下にある物質密度とその量の違い」すなわち地下構造を表す物理量である。したがって、純理学的なアイソスタシ-、ジオイド、地殻構造などの研究から、実用的な温泉、地下資源の探査まで、様々な利用価値がある。本研究では、特に「日本列島における地震予知研究の基礎」として地下構造を詳しく知ることが重要と考え、その目的にあう精度で測定とコンパイルを行った。 3.本研究費による研究の経過:本研究費の範囲では、(1)測定値の不足している地域(北海道から九州までのそれぞれ一部)において1500点以上の測定を行った。(2)縮尺100万分の1重力異常図を作成するとともに、基礎デ-タについて20万分の1地勢図単位で編集しデ-タベ-ス化した。(3)利用者の便を考え、断面図、分布図、地下構造解析などを普通のパソコンで行なえるようソフトウエアの整備を行った。 4.研究成果:総計50万点のデ-タを用いて、画期的に詳しい重力異常図を作成できた。国際的には第125回国際測地学協会(1989,エディンバラ)において発表すると共に、東京大学出版会から縮尺100万分の1カラ-重力異常図(3葉)、同縮尺の地震活動図(OHP用紙30枚)、解説書(88P.)を出版した。これは国際的にも十分通用するものである。 本研究はこれで完了と言うわけでなく、いっそうの充実が必要である。
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