研究課題/領域番号 |
63540327
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森田 昭雄 東京大学, 教養学部, 助教授 (40113914)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | ブラウン運動 / 化学反応 / ダイナミックス / 非線形 / 揺ぎ |
研究概要 |
A+B【double arrow】C型の二次可逆反応に措て、外部より強制的に加えたノイズにより反応物AあるいはBに揺ぎを誘起させたときの反応ダイナミックスについて研究を遂行した。時刻t=oで突然白色ノイズを加えたときのダイナミックスを調べた結果、最終的な平衡状態に到達する以前の過渡過程に於て揺ぎが最大になることを見つけた。これは平衡状態の揺ぎが一番大きいという通説に反することであり興味深い。そこで研究代表者は「揺ぎの突出現象」と名付けた。何故このような異常な現象が出現するかについては次のように考えられる。反応速度式はCの濃度に関しては非線形であり、これより揺ぎを考慮して得られる確率微分方程式はノイズの項について乗法的である。従って揺ぎの効果が系の非線形性のため拡大され過渡過程に於て突出現象が起ることになる。白色ノイズは理想化されたものであるから、もう少し現実性のある二色性ノイズを導入することにした。これにより今度は一次・二次不可逆反応に関して反応速度係数が温度変化・触媒活性等の影響で揺ぐ場合を調べた。二色性ノイズによるダイナミックスへの影響を調べた研究は少なく、まず初歩的な自由ブラウン運動の条件付き確率密度を計算した。これによるとデルタ関数が出現することが解った。また二色性ノイズの振動数が小さいとき決定論的結果より著しく違う挙動をすることが解った。以上の自由ブラウン運動の結果を基に上記一次二次反応に於る反応係数揺ぎを論じ得ることを示した。また調和振動子のブラウン運動も取り扱い、これにより一次可逆反応の濃度揺ぎを考察することができることを示した。またこの場合ノイズによる転位現象が伴うことが解った。この転位及び一般の二色ノイズ系に関して位相ダイヤグラムが極めて有用であることも示すことができた。
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