研究概要 |
N-〔(1R,2S,3R,4S)-2-ヒドロキシー1,7,7ートリメテルビシクロヘプトー3ーイル〕ー3ー(フェニルチオ)ー2ー(フェニルチオメチル)プパンアミド(1)に4当量のnーブチルリチウムを作用させると、トランス体のシクロプロパンカルボキサミドが94%の収率で得られるという新反応を見い出した。シクロプロパンのジアステレオマーは、カラムクロマトグラフィーにより容易に分離することができ、その比は、1:3であった。シクロプロパンの絶対配置は、X線結晶構造解析により決定することができた。不斉制御素子としてtーブチルジメチルシリル基を(1)に導入した化合物のシクロプロパン化反応ではそのジアステレオマー比は、1:5.2と向上することがわかった。化合物(1)にトリイソプロピルシリン基を導入するとその比を1:11に、上昇させる事に成功した。化合物(1)のエナンチオマーを用いるとシクロプロパンのそれぞれのエナンチオマーが高収率、高純度で得ることができる。以上のように、DーカンファーとLーカンファーを使い分けることができる。以上のように、DーカンファーとLーカンファーを使い分けることによって、シクロプロパンのエナンチオマーを任意に合成する新反応の開発に成功した。これらのシクロプロパンにさらに新たな炭素ー炭素結合を形成することができるためさまざまな新規シクロプロパン誘導体の合成も可能となった。 こうして得られたシクロプロパン環よりフェニルチオ基の除去ができれば、さらに一般性のあるシクロプロパン化反応となるため、今後の研究が切に望まれる。
|