研究課題/領域番号 |
63540433
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天然物有機化学
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
矢島 博文 東京理科大学, 理学部, 助手 (10147506)
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研究分担者 |
遠藤 隆一 東京理科大学, 理学部, 教授 (00084343)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 結合組織 / コラーゲン / ムコ多糖 / 相互作用 / 機能 / 物理化学的研究 / 凝集体形成 / 熱安定化 |
研究概要 |
1.本研究は生体の結合組織の特性に関する知見を得るため、その主成分であるコラーゲン分子の溶液物性に与えるムコ多糖の影響を物理化学的手段を用いて検討した。コラーゲン(CL)試料として。DSC測定用などの濃厚系には市販のペプシン処理I型コラーゲン(粗製アテロコラーゲン)を、また光散乱測定用などの希薄系にはそれを繰り返し塩析分画して得た単分子CLを用いた。試料成分の確認はHPLC法により行った。一方ムコ多糖(MS)はヒアルロン酸のナトリウム塩(HA,Mw=1.28×10^5)とコンドロイチン硫酸のナトリウム塩(CS,Mw=8.13×10^3)を用いた。溶液は主としてpH7.4のPBS(0.05Mリン酸bufferに0.137MのNaClを含む)を用いて調製した。 2.190〜250nmの領域における円偏光二色性(CD)スペクトルの解析の結果、HAおよびCSいずれにおいてもCLとの相互作用に基づく200nm近傍が正のCD帯を見出した。これらのCD帯の強度はHAおよびCSの濃度に伴い増加する傾向がある。また動的光散乱法により求められたCLの並進拡散係数DoはHAあるいはCSの添加により減少する傾向があり、MSの添加濃度の増加によりCLとMSの複合体形成の成長が示唆された。 CLのヘリックス→コイルへの転移が40℃付近に旋光度の大きな減少として観測されるが、MSの添加により転移温度は上昇した。また、DSC測定においてCLの変性に基づく吸熱ピークが41℃と45℃付近に現れ、それぞれCL単分子およびその凝集体によるものと帰属された。HAあるいはCSの添加に伴い高温吸熱成分の比率は増加した。MSの添加に基づくCLの熱安定化は動的粘弾性(DVE)測定における損失弾性率の結果にも現れた。またDVE測定においてMSの添加によるCLの貯蔵弾性率の増加が観測された。 3.以上の結果よりムコ多糖の添加によりCL分子の凝集体形成を促進し、それらとMSとの複合体形成が結合組織の熱安定化および弾性力の保持に重要な寄与をなしていることが推察された。
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