研究課題/領域番号 |
63540484
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機・錯塩・放射化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上田 寛 京都大学, 理学部, 講師 (20127054)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 遷移金属カルコゲナイド / インターカレーション / アルカリ金属ー遷移金属規則配列化合物 / 電気化学的方法 |
研究概要 |
本研究の目的は、CdI_2構造を基本とし金属原子と空格子点が規則配列した構造を持つ3d遷移金属カルコゲナイドを熱平衡下で合成し、それをマトリックスとして電気化学的にアルカリ金属を空格子点に挿入することにより、アルカリ金属と遷移金属が規則配列した金属原子面を一層おきに持つような化合物を合成し、その物性を探ることにある。まず、マトリックスとなる化合物として、Cr_3Se_4、V_3Se_4、Ti_3Se_4、Fe_3Se_4(金属と空格子点の比1:1)、Cr_2Se_3、Ti_2Se_3(1:2)、Ti_5Se_8(1:3)を合成し、空格子点の規則配列した構造をとっていることをX線回析、熱分析より確認した。続いて、これらをカソード・Liメタルをアノードとするセルを組み、電気化学的にLiを挿入することを試みた。得られた放電曲線は、いずれのマトリックスの場合にも空格子点の濃度に応じた電気量の所で電位の急激な降下がみられた。また、主成物のX線パターンは基本的に出発時と同じであった。これらの事は、空格子点にその濃度に応じた分だけLiがインターカレートし、従って、Liと遷移金属とが規則配列した化合物が生成していることを示している。これらの磁性としては、Cr_3Se_4は面内強磁性の反強磁性体であるが、Liのインターカレートと共に強磁性成分が顕著になり、また、Fe_3Se_4は面内強磁性のフェリ磁性体であるがLiのインターカレートと共に磁化が減少する。これらは、Li^<+1>の挿入により、磁性イオンの原子価が変化し、そのため強磁性面の総磁化が減少することによると解釈される。詳しい研究は今後の課題である。電気的性質は、マトリックス粉末の結着剤として用いたテフロン粉末を除く処理に問題があり調べることができなかった。結着剤を用いない方法を工夫するなど残された課題である。
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