1.Clematis(センニンソウ)属植物に関する成果:中国産のC.leiocarpa Oliv.およびC.uncinata Champ.の葉の内部形態的特徴を明らかにした。その結果、本種の学名をC.uncinata Champ.var.coriacea Pamp.とすることは不適当であることが明らかになった。また同時に、四川省産の漢薬「威霊仙」には両植物の地上部を基源とするものがあることを新知見として得た。 2.Aconitum(トリカブト)属植物に関する成果:ネパ-ル産の本属植物A.orochryseum Stapfの塊根の内部形態的特徴を研究した。その結果、従来Delphinium属植物の地下部であるとされてきたネパ-ル薬物NIRBISIの1原植物としてA.orochryseumが利用されていることを新知見として得た。さらに韓国に自生するA.triphyllum Nakaiの塊根をも検討した結果、本属植物の塊根の種による内部形態的特徴は、従来指摘されてきた形成層輪の形状以外にも、皮層の厚さ、皮層中の厚膜細胞の量などにも認められることを明らかにした。 3.Coptis(オウレン)属植物に関する成果:日本および中国産の同属植物全8種3変種の、各器官の内部形態を詳細に検討した。その結果、葉においてはさく状柔細胞の大きさに種の特徴が認められ、根茎においては厚膜細胞の有無で日本産と中国産が区別されるなどの新知見を得た。以上の結果に基づき、各地の市場で入手した本属植物由来の生薬の基源を明らかにした。 4.富山医科薬科大学和漢薬研究所民族薬物資料館書所蔵標本中の、ネパ-ルで採集されたRanunculaceae(キンポウゲ)科植物標本を整理し、一覧表を作成した。
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