研究課題/領域番号 |
63540555
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐野 清 北海道大学, 理学部, 助教授 (10146516)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ヒストンH1キナ-ゼ / ヒトデ / 卵成熟 / ホスファタ-ゼ阻害剤 / プロテア-ゼ阻害剤 / オカダ酸 / α-ナフチルホスフェ-ト / ジチオスレイト-ル / 卵成熟促進因子 / 卵成熟特異的プロテインキナーゼ / ヒストンH2キナーゼ |
研究概要 |
イトマキヒトデ未成熟卵母細胞上清液を20mMMesバッファ-で10倍に希釈し、さらにSH還元剤のジチオスレイト-ル(DTT)を加えると、成熟開始卵中のキナ-ゼと同様の特性をもつヒストンH1キナ-ゼが、当初のレベルの5〜6倍にまで自発的に活性化される。 1.未成熟卵母細胞抽出液を全く希釈しない場合、H1キナ-ゼ活性化が著しく抑制された。この抑制作用は、抽出バッファ-中のMgイオンやKCIによることがわかった。 2.ホスファタ-ゼ阻害剤のα-ナフチルホスフェ-ト(α-NP)は、これらイオンによる抑制を解除するのみならず、さらにH1キナ-ゼの活性化を促進することがわかった。この時、約200mMのNaClやKCIを添加すると、成熟開始卵中に検出されるH1キナ-ゼ活性のピ-クレベルにまで、活性化が促進されることが判明した。 3.発癌プロモ-タ-でもあるオカダ酸やカリキュリンA、さらには、インヒビタ-1のリン酸化型ペプチドのいずれの添加も無細胞系でのH1キナ-ゼ活性化促進はおこさなかった。これらの結果は、イトマキヒトデ卵母細胞中には、少なくともホスファタ-ゼとしてタイプ1、2A、2B以外のタイプで、かつ、α-NPに感受性のホスファタ-ゼが存在し、無細胞系おいてヒストンH1キナ-ゼ活性化に抑制的に働いていることを示唆している。 4.無細胞系におけるヒストンH1キナ-ゼ活性化におよぼす各種プロテア-ゼ阻害剤の影響を調べたところ、キモスタチンに加え、高分子量多機能プロテア-ゼに対する阻害能が報告されているヘミンやオ-リントリカルボン酸の添加により、H1キナ-ゼ活性化が抑制された。これらは、卵核胞崩壊に対しても抑制的に作用した。これらの結果は、卵成熟時のヒストンH1キナ-ゼの活性化時に、キモスタチン感受性のプロテア-ゼ、特にある種の高分子量多機能プロテア-ゼによるプロセシングが関与する可能性を示唆している。
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