研究概要 |
センチュウC.エレガンスのunc22遺伝子缺損は、運動がよくできなくなることが知られている。この遺伝子産物は分子量40万でミオシンフィラメント上に局在すると報告されている。 脊椎動物横紋筋の弾性タンパク質コネクチン(分子量約300万)に対するモノクローン抗体(3B9,4C9)は、unc22遺伝子産物と反応することがイムノブロット法によって明らかにされた。このことは、unc22欠損ミュータントでは、ごく少量しか3B9,4C9と反応するバンドがないことからわかった。 蛍光抗体法で凍結切片をしらべてみると、野生型では体壁筋、咽頭筋に存在が認められた。unc22欠損ミュータントでは、咽頭筋には存在したが、体壁筋にはみられなかった。このことがイムノブロット法による量比の違いが説明できる。 免疫電子顕微鏡法でしらべると、Z線に相当するデンスボディに3B9や4C9が結合している。unc22欠損ミュータントには抗体の結合が見られなかった。 もともとデンスボディは、体壁筋のアクチンフィラメントをつないでいる構造として記載されている。もしかすると、ミオシンフィラメントからコネクチン様の細い弾性フィラメントがデンスボディまで伸びている可能性がある。すると、unc22遺伝子産物がミオシンフィラメントに局在するというWaterston(1988)の報告と一致する。 分子量300万の脊椎動物のコネクチンが下等無脊椎動物にあっては分子量40万のタンパク質に相当する可能性は、タンパク質の進化の上からみて、たいへん興味あるといえよう。
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