研究課題/領域番号 |
63540580
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
本川 達雄 琉球大学, 理学部, 助教授 (80092352)
|
研究期間 (年度) |
1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | キャッチ結合組織 / ヒトデ / 棘皮動物 / バイオメカニクス / 結合組織 |
研究概要 |
ヒトデは貝をこじあけて食べるとき、特有の姿勢をとり、体壁を非常にかたくしてそれを足場とし、管足により貝をこじ開ける。またヒトデは体壁をやわらかくして自由に体の形を変えることもできる。このかたさ変化はどのようなメカニズムによるかは、知られていなかった。本研究により、このかたさ変化は、体壁に存在するキャッチ結合組織によって引き起こされることが明らかになった。 ヒトデの腕の体壁の構造を、走査型電子顕微鏡と、光学顕微鏡とを用いて調べた。体壁は、1m程度の骨片が筋肉と結合組織とによりつなげられた編目状の骨格が、結合組織の中に埋まった構造をしていた。 ヒトデの腕の曲げ試験を行い、それより、腕の曲げかたさをもとめた。MS-222やメントールで麻酔したものの曲げかたさは、麻酔しないものより10倍も高い値を示した。麻酔した材料では腕の運動は見られず、体壁中の筋肉は弛緩していると思われる。だから、麻酔したもので見られる高い曲げかたさは、筋肉の作用ではないだろう。かたさ変化が筋肉によらないことは、いったん凍結して殺した材料を用いた実験によっても支持された。凍結して海水中で解凍したもの(筋肉は生きていない)は、生の未処理のものと代わらない曲げかたさだったが、これを蒸留水中に移すと、曲げかたさは10倍増加した。このようなイオン環境の変化による、大きな力学的性質の変化は、キャッチ結合組織の特色である。腕の曲げクリープ試験を行った結果、腕の粘性の変化は、弾性の変化にくらべて、10倍以上大きいことが分かった。これもキャッチ結合組織の示す性質である。ヒトデの腕のかたさ変化は、筋肉ではなく、キャッチ結合組織によって起きている可能性が高い。光学顕微鏡による組織像も、この結論を支持している。また、神経の切断実験等により、キャッチ結合組織のかたさは、放射神経の支配を受けていることが示唆された。
|