研究課題/領域番号 |
63540593
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物形態・分類学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
馬渡 駿介 (馬渡 俊介) 北海道大学, 理学部, 教授 (50096913)
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研究分担者 |
野田坂 佳伸 SCHOOL OF DENTISTRY, TECHNICAL OFFICIAL (30184005)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 唇口苔虫類 / 系統分類 / 分岐分析 / 幼生形質 / 変態 / コブコケムシ類 / 分岐図 / 系統図 / 幼性形質 / 形質の方向性 / 外群比較法 / コブコケムシ / 派生形質 / 付着変態 / 幼生 / 初虫 |
研究概要 |
昨年度は主としてPseudocelleporina triplexの幼生形態及びその変態過程を走査型及び透過型電子顕微鏡を用いて観察した。その結果、この種は特異な梨状器官と巨大な内嚢をもち、多数の分泌細胞を含んでいることが明らかとなった。この結果にもとづき、その他のコブコケムシ類6種の幼生を昨年から今年にかけて採集し、形質分析を行った。その結果、(1)繊毛環、(2)外套上皮、(3)口極上皮、(4)内嚢、(5)梨状器官、(6)間充識、の合計六つの形質を分岐分析のための形質として抽出した。これらの形質のうち、外套上皮、口極上皮、及び内嚢において、北海道産7種のコブコケムシの間で形態変化の方向性を調べた。Celleporina属とPseudocelleporina属との比較では、上記3形質とも同じ方向へ向って明らかな方向性が認められ、後者は前者から派生した属であると結論できた。ところが、Celleporina属内の種間では各形質がそれぞれ異った系列的変化を示した。そこで、外群比較法を用いてどの系列変化が真の系統をあらわしているかをさぐった。コブコケムシ類に最も近縁なグル-プは何か残念ながら特定されていないので、近縁と思われる三つの属、Cellepora,Galeopsis,そしてLageniporaを外群とみなしてそれぞれ分岐分析を行った。その結果得られた三つの分岐図はたがいに全く整合しなかった。三つの分岐図のうちどれが真の系統図を内包しているのか今回の研究では結論は得られなかった。結局、どれが真の外群か決定できなかったからである。 二年間に渡り、コブコケムシ類の分岐分類を目ざして研究を行ってきた。その結果、幼生の形質分析こそ成就したが、分岐図、さらには系統図を描くまでには到らなかった。分岐図の作製には外群の決定が必須である。外群の決定のためには、対象としたムコブコケムシ類ではなく、それと近縁のグル-プのしっかりした系統分類がまず必要である。
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