研究概要 |
「北西へと運動するフィリピン海プレ-ト上の,古伊豆一小笠原弧に所属する火山島や水中火山が,南部フォッサマグナで次々に衝突・付加た」という島弧の多重衝突仮説を検証することを目的に研究を進めた.得られた結果は,以下の通り. 1.島弧の衝突現象を良く反映している層群の中で,南部フォッサマグナにおいて最も広い分布を示している富士川層群を対象として地質調査を全面的にしなおし,地質図(1/25000)を完成させた.微化石による層序の検討を加かた結果,富士川層群中には,島弧の衝突を反映した礫岩類の卓越した層準が,9Maー7Maと5Maー3Maとの2つあることが分かった.前者は,御坂地塊の衝突に起因し,後者は丹沢地塊の衝突に関連している. 2.堆積学的検討の結果,富士川層群中の礫岩類は,フィリピン海プレ-トの沈み込みに伴って形成されたトラフを充填した堆積物である. 3.南部フォッサマグナ全域の地質をコンパイルした結果,島弧の衝突を反映した礫岩類卓越層準は,富士川層群中の2層準に加えて,あと2層準あることが分かった.一つが,櫛形山地塊の衝突に伴った12Maの層準で,他の一つが,伊豆地塊の衝突に伴った1Ma前後の層準である. 4.南部フォッサマグナで復元された応力の中には,伊豆地塊衝突以後のフィリピン海の運動と調和的なものが多い.
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