研究課題/領域番号 |
63550005
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
上野 信雄 千葉大学, 工学部, 講師 (40111413)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | ホット電子 / 分子薄膜 / 電子親和力 / エネルギ-バンド / 電子透過 / 電子散乱 / LB膜 / 薄膜 / 配向薄 / 伝導帯 / 分子デバイス / 有機分子 |
研究概要 |
本研究では、配向制御有機分子超薄膜の膜構造と、ホット電子輸送及びホット電子の膜への注入効率等の電子物性との相関を、主として超低エネルギ-電子透過法により研究し、以下に述べる重要な結果を得た。さらに、有限の長さのアルキル鎖内のホ-ルバンドを角度分解光電子分光法を用いて研究した。 1.超低エネルギ-電子透過装置の試料室排気部を改良し、実効排気速度の向上をはかった。この結果、大気圧から装置の加熱なしで10^<-9>Torrの真空までおよそ50時間で排気できるようになり、実験・測定時間の実質的短縮をはかった。 2.アルキル鎖を有するアラキン酸カドミウムLB膜、ポリジアセチレンLB膜、およびテトラテトラコンタン分子線蒸着膜の数分子層程度の超薄膜の電子透過スペクトルを、膜厚、試料温度、結晶性、成膜後経過時間の関数として測定し、次の結果を得た。 (1)アルキル鎖部の垂直配向性が、膜厚の増加と共に向上し、4分子層以上でよい配向性を示す。 (2)2分子層程度の膜の悪い垂直配向性は、主として結晶性が十分でないことに起因している。 (3)配向性(結晶性)の良いアルキル鎖部では、使用した範囲での全ての試料分子薄膜で、電子伝導帯底が真空準位よりおよそ0.4-0.5eV上に存在し、配向性(結晶性)の乱れにより伝導帯底が下方に移動し、かつ大きな温度変化を示す。また、膜への電子注入効率が、低温で増加する。 (4)バンドギャップ透過電流を膜厚の関数として測定した結果、これがトンネル効果では説明できないこと、さらにバンドキャップ透過電流のみが薄膜の融点直下の温度で消失する。この理由については、現在考察中である。 3.シンクロトロン放射光を用いた角度分解光電子分光法により、有限長のアルキル鎖中に運動量を量子数とする一次元ホ-ルバンドが観測され、その基底状態がB_<2g>状態であることを見いだした。 以上、本研究により、有機分子超薄膜のホット電子輸送物性に関して有用な結果が得られ、今後の発展が期待される。
|