研究課題/領域番号 |
63550006
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用物性
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (10183097)
|
研究分担者 |
榊 裕之 東京大学, 生産教授研究所, 教授 (90013226)
生駒 俊明 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80013118)
|
研究期間 (年度) |
1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | トンネル効果 / 半導体超薄膜ヘテロ構造 / 電子-フォノン相互作用 / 分子線エピタキシー / トンネリングスペクトロヌコピー / 界面モードフォノン / トンネルダイオード |
研究概要 |
電子がトンネル効果により半導体超薄膜を通過するとき、その電流成分に微小ではあるがフォノン散乱を介した成分が存在する。したがって、このトンネルコンダクタンスを詳細に検討することにより、トンネル過程における電子-フォノン相互作用について知見を得ることができる。我々は、ホットエレクトロトランジスタの電子エミッタとして応用上非常に重要なGaAs/AlGaAsヘテロ接合トンネルダイオードのトンネルコンダクタンスについて詳細に検討を行った。試料は、分子線エピタキシー法により作製した障壁幅約7nmを有するGaAs/AlGaAs/GaAsヘテロ接合単一障壁トンネルダイオード構造であり、温度4.2Kにおいてトンネル電流の1階微分、および2階微分を測定した(トンネリング・スペクトロスコピー)。その結果、我々は、AlGaAs中のフォノンエネルギーに対応するバイアス電圧近傍で、従来考えられてきたようなフォノンアシステッド効果によるコンダクタンスの増加ではなく、むしろコンダクタンスの減少を観測した。このことは、電子-フォノン相互作用がGaAs電極中で生じていることを示す。さらに、得られたフォノン信号の位置をAlGaAs障壁層中のAlAsモル分率の関数として検討したところ、観測されたフォノンのエネルギーは、AlGaAsバルク中のそれとは一致しなかった。この値を誘電連続体モデルによるフォノンモードの計算値と比較した結果、トンネル中に電子と支配的に相互作用するフォノンモードは、GaAs/AlGaAsヘテロ界面からGaAs電極中に侵入している界面モードフォノンであり、このような半導体ヘテロ接合系特有の現象であることが明らかになった。電子と界面モードフォノンの相互作用を電気伝導特性において観測したのは、世界初である。
|