研究課題/領域番号 |
63550102
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機械工作
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
稲村 豊四郎 金沢大学, 工学部, 助教授 (60107539)
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研究分担者 |
白瀬 敬一 金沢大学, 工学部, 助手 (80171049)
安井 武司 金沢大学, 工学部, 教授 (60110607)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1988年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 超微小切削 / 非線形有限要素法 / 原子間ポテンシャル / シミュレーション / 原子 / 分子動力学法 / 転移 |
研究概要 |
本研究で得られた成果は以下の通りである。 1.従来の分子力場法や分子動力学法とはまったく異なる方法で、固体結晶の原子レベルでの変形挙動を解析する手法を開発した。これは規則的に並んだ原子を節点、各原子間に働くポテンシャル(あるいはそれを位置で微分して得られる原子間力)を要素とする非線形有限要素法の定式化を基礎にしたものである。具体的な計算手順は、先づポテンシャルエネルギ最小化の手続きによって剛性マトリクスを組立て、固定端条件処理の後、連立一次方程式を解く。次に得られた解により節点座標データを更新し、再び剛性マトリクスを組立て、連立一次方程式を解く。以上の手続きを全原子が安定な配列になるまで繰返し、安定な配列になれば工具を微小量だけ前進させて、同様の手続きを繰返すというものである。この手法は分子力場法や分力動力学法に比較して格段に計算効率が高く、従来の手法では事実上不可能であった切削のシミュレーションを可能にした。 2.上記1で開発した手法を用い、被削材を銅の完全結晶、工具をダイヤモンドとして切削のシミュレーションを行った。計算に必要な原子間ポテンシャルは、堂山一コットレルの実験式を使用した。シミュレーションの結果、このような超微小状態の切削では、いわゆるせん断型切削に似た切削様式が出現することが明らかになった。これは工具によって被削材端に転移を作るプロセスと、生成された転移が被削材中を走り抜けるプロセスとが交互に繰返されて起こるものである。一段に結晶中の転移は、それを作り出すのに要する力と、作られたものを移動させるのに要する力とが銅の場合10^<-5>程度異なり、工具で作られた転移は瞬間的に被削材中を走り抜けることになる。今後は原子数を更に増やし、より現実的なシミュレーションを行う予定である。
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