研究概要 |
精密仕上げ加工法の主流である遊離砥粒ラッピングの欠点を補う目的で,固定砥粒方式(主としてBonded Abrasives)による精密研磨加工の可能性を追究した。その結果を要約すると以下のとうりである。 [1]ラッピング砥石の機械的特性(硬度や弾性係数など)を明らかにした。特にこれらの値は乾式と湿式で大きく異なること,砥石の部分によりかなりむらがあること,そしてこのよウな変動が加工精度にとって無視できないオ-ダであることなどを,理論と実験の両面より定量的に示摘することができた。 [2]砥石ラッピングにおいて,研磨特性の経時変化は避け難い。この抑制には研磨圧力とボンド強度の関係を知ることが重要である。本研究ではこれらの点を実験的に明らかにすると同時に,摩耗機構についても言及できた。 [3]砥石ラッピングにおける加工精度を支配する最大の因子は,砥石プレ-トの平胆度劣化にある。本研究ではこの平坦度の劣化過程を実験的に追跡し,同時にそのメカニズムについて検討した。その結果この形状加工精度を左右する最大の因子は,砥石の弾性係数であることを明らかにした。次いでこれらの結果を基に砥石プレ-トの平坦度劣化過程のコンピュ-タシミュレ-ションを試み,その有効性を確めた。 [4]砥石ラッピングにおける加工面粗さの形成機構は次の3種類に大別できることをまず実験的に明かにした。(1) 転写型 (2) 中間型 (3) Burnish型これら3型態を左右する因子は,粒度と研磨荷重であり,これらの理論的な関係は,ここで提案する塑性指数によって説明できることを示すことができた。砥石ラッピングにおいて支配的なのは(1)と(2)であり今後(3)を如何に実現するかが,斯界の最大の技術課題である。
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