小型アンテナの全周放射パターンを統一的に計算出来る有力な数値手法一つとして、円柱面パラボラアンテナの遠方界パターン計算(E-Polarization)については、既に良好な結果が得られているが、これを3次元問題に拡張するには、未だ解決すべき問題が多いせいか、電磁波(ベクトル場)に関しての報告はあまり見られていない。未解決の問題の一つとして掲げられるものの中に、ベクトル場に対する境界条件のとり方があると思われるが、現在満足の得られる結果を得ていない。3次元問題に対するアプローチの一つとして、2次元問題でのE-fieldとH-fieldの組合わせによる近似的解法についても検討を行った。既に得られているE-fieldのデータに対し、対応するH-fieldの実測データを振幅、位相パターンの両方について正確に得る必要から、そのための実測装置の試作をも行い、データを得ている。また、3次元レベルへ移行するための2次元レベル問題において、アンテナの近傍領域におけるBEMの有用性の検証も必要であるとの判断から、E-fieldに対する近傍電磁界を測定し、その比較から良い一致の得られる事を確認した。現在、試作した振幅、位相測定装置により、小型ホーンアンテナパターン及び2次元平行平板アンテナのH-fieldのデータを追加的に実測する一方で、東北大のスーパーコンにより、シュミレーションを行っている段階であるが、完成までには今少し時間を要し、継続的に研究を行う事が不可欠と思われる。本年度内に得られた成果は、3次元問題への解決に向けて若干の展望を開いたものと考え、小型ホーンアンテナを当分の間、その研究の対象とし、研究を継続したいと考えるものである。
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