研究課題/領域番号 |
63550265
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
情報工学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊福部 達 北海道大学, 応用電気研究所, 助教授 (70002102)
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研究分担者 |
佐々木 忠之 国立身体障害者リバビリセンター研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1988年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 盲人用歩行補助器 / コーモリの反響定位 / 超音波センサ / 障害物検出 |
研究概要 |
コーモリが超音波を利用して物体の認識を行う、いわゆる反響定位機構は不明な点が多いが、本研究では、この音響定位に類似する能力がヒトにも存在することを明らかにした。同時にその能力を積極的に活用した盲人用歩行補助器を試作し、その評価を行った。 1.まず、基礎実験として、コーモリは定位音として周波数が急激に下降する超音波(下降FM超音波)を利用しているが、これが物体の認識にどうして有利なのかをヒトによる心理物理実験に基づいて調べた。そのため、コーモリが発射する下降FM超音波と同様の音を超音波送信器から発射させ、色々な物体から反射してきたのをコンピュータに取り込んだ。さらに、ヒトの聴覚で知覚できる可聴音に変換して両耳聴で聴取した結果、ヒトの聴覚でも下降FM超音が物体を認識する上で有利であり、特に、大きな壁の前にある小さな物体を認識する場合に有効であることを明らかにした。 2.基礎実験の結果に基づき、マイクロプロセッサを中心とするポータブル盲人歩行補助器を試作した。これは、モモジロコーモリと同じ超音波を眼鏡のフレームの中央に取り付けた超音波送信器より発射し、送信器の両側に取り付けた2個の受信器で反射超音波を検出し、さらに50倍に時間的に引き延ばして可聴音に変換するものである。 3.この補助器をフィールド実験により評価した結果、直径2mmの棒であれば眼前約85cmのところで認識できること、また、眼前1mのところに立てた直径2cmの棒の場合、角度で2〜3度ずさるとそのずれを弁別できることが分かった。従来の補助器と比較したところ、コーモリの反響定位をモデルとする補助方式が優れていることを確認した。ただし装置の小型化や低価格化に関する技術的な問題は今後の課題として残されている。
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