研究概要 |
1.入力,出力にむだ時間がある系の有限極配置制御において,制御対象のパラメ-タやむだ時間の実際の値と設計に用いた値の間にずれがある場合のロバスト安定性を数値実験を通し調べた。その結果,閉ル-プ系の極が等しくとも,積分器の位置,オブザ-バ,予測器の構成の違いでロバスト安定性が異なることを明らかにした。これらの結果をもとに設計法を与えた。 2.状態にむだ時間をもつ系に対するフィ-ドバック制御系の特性多項式は,lsI-A(z)-b(z)F(z)l=S^n+α_1(z)S^<n-1>+‥+α_n(z)-F(z)M(z)V(s)(VCs)=〔1,s,ーー,s^<n-1>〕^T)となる。F(z)=〔α_n-β_n,‥,α_1(z)-β_1〕M^-^1とおくとlsI-A(z)-b(z)F(z)l=S^n+β_1S^<n-1>+‥+β_nとできる。M(z)の構造を利用し,F(z)を実行可能な有限ラプラス変換を含むF(z,s)に変換する方法を与えた。 3.多入力系についてはスミス形式を利用してF(z)からF(z,s)にする方法を与えた。 4.上記の方法ではβiの値を変えると計算のやり直しが必要である。これを避けるために,M(z)V(z)=P(s)V(z)の関係とM(z)の構造を利用し,K(z,s)M(z)V(s)=V(s)を満たす有限ラプラス変換上の行列K(z,s)を求める方法を与えた。このときF(z,s)はF(z,s)=〔β_n-α_n(z),‥,β_1-α_1(z)〕K(z,s)で与えられる。 5.中文型むだ時間系(状態変数の時間遅れ微分を含む系)の有限極配置問題を二つのステップに分けて解く方法を確立した。第1ステップで,状態変数の時間遅れ微分を含むフィ-ドバックで疑似状態遅れ系にし,第2ステップで状態にむだ時間系の有限極配置を適用する方法である。 6.有限極配置法を繰返し制御系の設計に応用した。
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