研究課題/領域番号 |
63550349
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
コンクリート工学・土木材料・施工
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
魚本 健人 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (80114396)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1988年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | アルカリ骨材反応 / 鉄筋コンクリート構造 / 劣化モデル / 濃度勾配 / 膨張量 |
研究概要 |
本研究は、社会的にも大きな問題となっているコンクリート構造物の劣化のうち、近年特に著しい被害を及ぼしているアルカリ骨材反応による鉄筋コンクリート構造物の劣化防止ならびに補修・補強のための劣化度判定方法を確立する目的で、アルカリ骨材反応による鉄筋コンクリート構造物の劣化機構を解明し、より望ましい耐久性設計および劣化度診断を行うための劣化モデルを確立させようとするものである。 本研究では、安山岩系の反応性骨材を使用し、配筋量、配筋方法、コンクリート中のアルカリ量等を変化させた鉄筋コンクリート梁および柱を作成した。これらの試験体を20℃および40℃の温度条件で養生し、ひずみ、膨張量、ひび割れ性状などの経時的な変化を調べた。 その結果、次のようなことが明かとなった。1)アルカリ骨材反応はコンクリート中に含まれるアルカリ量によって大きく変化し、ほぼアルカリ量の4乗に比例する。2)養生時温度40℃の方がアルカリ骨材反応は早く、膨張量も大きいが、最終膨張量は温度20℃の方が大きくなる。3)鉄筋による拘束は、鉄筋比が1%程度以下までは効果があるが、さらに鉄筋比を増大させてもその拘束効果は認められない。4)コンクリートにひび割れが認められるのは、膨張量が0.02%〜0.05%に達した場合で、その後の膨張性状は大きく変化する。 以上の実験結果を踏まえ、骨材の反応深さはアルカリ濃度勾配に比例すると考えたモデルを考案し、実験結果に適用したところ、実験結果とよく一致するばかりでなく、ペシマム現象、使用骨材の寸法による影響などに関する他の研究者の結果をも説明できることが明らかとなった。また、このモデルを利用すると、アルカリ骨材反応による最終膨張量および時期の予測が簡便に行えることが明らかとなり、構造物の劣化度判定を行う場合の貴重な指針を導き出すことができた。
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