研究概要 |
先ず最初に,前年度に作成し,実験を行った超高RC煙突の弾性相似模型を用いて追加実験を行った。実験の改良点は模型の構造減衰が実物に近いものとなる様に基礎部分の架構をより剛強にした点と,高レイノルズ数領域での流れを模擬すべく模型裏面にとりつけるラフネスをよりピッチの大きいものも試みた点である。結果的には昨年度に行った実験結果を大きく改善するものではないが,弾性模型による動的応答実験として現状で実験し得る限度に近い成果を得たものと考える。 次に,これ迄得られた成果に基づき,煙突の渦励振を対象とした設計式を確立すべく,風洞実験も含めた応答予測手法をまとめた。理論的予測に関しては,従来からある建築物荷重指針・同解説(日本建築学会),田村の振動子モデル,Vickeryの方法などによる予測値の比較検討を行った。応答の実験的予測に関しては,本研究の成果に基づく弾性模型実験による方法をとりまとめ,実測結果との比較の上でその妥当性を確認している。その際,模型の製作方法,実験の方法についても詳しく検討している。これらを踏まえた上で煙突の渦励振設計フロ-を作成し,マクロな意味の設計方法の提案を行い,設計荷重の算定方法,および理論的応答予測式の提案を行っている。また,これらの手法による設計荷重の算定を行い,算定例を示した。
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