研究課題/領域番号 |
63550474
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
成田 舒孝 京都大学, 工学部, 助教授 (10026213)
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研究分担者 |
東田 賢二 京都大学, 工学部, 助手 (70156561)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | セラミックス / 酸化物 / ジルコニア / 高温超電導体 / 酸素空孔 / 環境効果 / 正方晶ジルコニア多結晶 / 相変態 |
研究概要 |
酸化物系セラミックスは一般に優れた耐環境性を有すると考えられるが、正方晶ZrO_2系多結晶(TZP)や斜方晶YBa_2Cu_3Oy超電導体(YBCO)などの酸化物は水蒸気などの環境下で構造変化を誘発し、その特性を劣化させることがある。本研究では、これら酸化物の環境効果に果す酸素空孔の役割について、X線回折、赤外分光、NMR、軟X線分光、重量分析、ガスクロマトグラフ分析などの測定法を用いて調べられた。 ZrO_2の正方晶相は、Zr^<4+>に対するO^<2->のイオン径比が大きすぎるため室温で得られないが、Zr^<4+>の一部をY^<3+>で置換して酸素空孔を導入したZrO_2ー3mol%Y_2O_3(YーTZP)やZr^<4+>の一部を大きなイオン径のCe^<4+>で置換したZrO_2ー12mol%CeO_2(CeーTZP)では室温で得られる。しかし、空孔を含むYーTZPでは、H_2O、NH_3ガス中やLiF粉末中の時効によって正方晶(T)→単斜晶(M)変態が強く誘起される。水蒸区時効によるTM変態に伴って、空孔量と等モル数のH_2Oに対応する重量増加が観察され、また^1HのNMR信号も観測される。これは、空孔(Vo)を媒体として、H_2O+Vo→O^x_o+2Hiの反応でOやHが試料内へ導入されることを示し、これはガス分析によっても確認される。一方、空孔を含まずに構造を保つCeーTZPでは、いずれの環境下においても相変態を誘起しない。これらより、空孔を含んで構造を保つYーTZPでは環境から侵入する陰イオンが空孔を埋めて構造を不安定とし、TM変態を誘起するものと考えられる。 YBCO試片の場合も、H_2Oガス中やLiF粉末中で斜方晶→正方晶変態や他の化合物への分解を誘発し、低酸素分圧下で空孔量を増した試片ほどその構造変化が促進される。逆に、Cu^<2+>の一部をMn^<4+>で置換し、空孔量を斜方晶相の理想値(単位格子当り1個)にまで減少させると、環境による構造変化が抑制され、特性少化を防止できる。それゆえ、過剰空孔を媒体として環境元素が侵入し、構造を不安定にすると考えられる。
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