転炉型の反応器を用いる溶融還元プロセスでは、還元鉄はスラグ中または溶鉄中で溶解することになる。還元鉄のような多孔質体が室温から融体中に投入される場合は、試料の熱移動量に相当する量の融体が一時的に試料表面に凝固する。この凝固相が溶解してから還元鉄が溶解するか、還元鉄も同時に溶解するプロセスになるかは還元鉄の伝熱機構(熱伝導率・気孔率・粒度など)に依存すると考えられる。本研究では、還元鉄の融体中での溶解機構を解析し、溶融還元プロセスにおいて還元鉄に要求される最適な溶解条件を確立することを目的としている。 ヘマタイト系鉄鉱石生ペレットを球形(径20mmφ)に削り出し、1250℃30分で焼成し、ペレットを作成した。還元反応炉で酸化鉄ペレットを水素ガスで還元し、各種還元率の試料(予備還元鉄)を作成した。試料の中心部に熱電対を埋め込み、溶融スラグ中に浸漬し、ペレット中心温度の昇温速度および溶解終了時間を測定した。 昇温速度ならびに溶解時間はペレットの予備還元率に依存して変化した。すなわち、予備還元ペレットの溶解時間は還元率が約50%で最短になったことからも明らかになった。 伝熱過程を数字モデルで解析したが、初期の昇温過程を十分に説明することができなかった。ペレットの溶解機構をペレットの伝熱係数と予備還元率の関係から検討している。
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