研究課題/領域番号 |
63550495
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属製錬・金属化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
八尾 伸也 大阪大学, 工学部, 助教授 (90029299)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1989年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 水素ガス製造 / 金属-カルコゲン融体 / スズ-テルル融体 / 酸素濃淡電池 / 定電圧電解 / 金属ーカルコゲン融体 / スズーテルル融体 / 酸素の活量係数 / 水素製造 / 固体電解質 |
研究概要 |
種々の金属-カルコゲン融体の中でも、酸素飽和溶解度が大きく、比較的実験が容易とみられるSn-40at.%Te融体を用いて、水素ガス製造実験を行った。15φ×11φ×400mmのCaO安定化ジルコニア一端閉管内に融体を入れ、空気・白金を外部標準極としてAir,Pt/ZrO_2(+CaO)/O in Sn-40at.%Te meltなる電池(I)を構成した。300cc/minの流量で水(0℃)を通過したArガスを流し、1123Kにおいて、電池(I)に所定の電圧(V)を負荷し脱酸を開始する。電流が一定値(I)になったことを確認したなら、次に水の温度を30℃、50℃、70℃と順次変化させて、相当する一定電流の水温に対する依存性を調べた。製造効率の良い電極においては、電流およびその水温依存性はもっとも大きくなる。さらに、電池(I)の右極を、多孔質Pt、および純Sn融体にして同様の実験を行ない、比較検討を行なった。その結果、Sn融体電極において、電流およびその水温依存性はもっとも大であり、Sn-40at.%Te融体、および多孔質Ptの特性はほぼ同等であった。Sn-40at.%Te融体よりもSn融体の水素製造効率がはるかに大であることより、融体中の酸素の飽和溶解度はそれほど大きな因子ではないことがわかる。当初の予想に反したことであったが、融体の酸化され易さ、さらには引き続いての還元され易さがもっとも重要である。Sn融体においては融体直上で生成されたSnO_2が界面張力の差(マラゴニアン効果)により速やかにジルコニア界面まで移動し、そこで電気化学的に脱酸されるため、通常の水素ガス製造で用いられるPt電極より遙かに製造効率が良くなる。いちど空気で酸化したSn-40at.%Te融体においてもSn融体と同程度の電流が流れることから、この推察の正しさがわかる。Snの蒸気圧はかなり小さく操業での問題もない。このようなSnなど融体を、最近注目されている酸化物電極と混ぜ合わせて、融体の特性を生かした電極の開発が必要であることを本研究は示唆している。
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