研究課題/領域番号 |
63550543
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属材料
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大坂 敏明 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50112991)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1989年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 超高真空その場観察電子顕微鏡法 / MBE成長 / ヘテロエピタキシャル成長 / 表面超構造 / 格子整合性 / 超高真空その場観察顕微鏡法 / 表面緩和構造 |
研究概要 |
当該年度は、前年度において評価が行なわれたInSb基板上に、格子定数の大きく異なるInをヘテロエピタキシャル成長させ、基板の極性、表面超構造の違いがヘテロエピタキシャル成長膜にどのような影響を及ぼすかを超高真空その場観察電子顕微鏡法により明らかとした。特に、基板となる化合物半導体の十分定義された静浄表面上でのヘテロエピタキシャル成長過程の動的なTEM観察は従来例がなく、本研究において初めてなされたものである。その結果の概略を以下に示す。 (1)Inは、その成長初期段階において、InSb(111)A2x2及びInSb(111)B2x2いずれの基板上においても、バルクのInが持つ構造とは異なるfcc構造をとりながら島状成長する。このfcc構造を持つInは、その膜厚の増大とともにバルクの構造であるfct構造へと変態する。 (2)Inは、(111)A面基板上では、その格子不整合が大きいにもかかわらず、極めて配向性良くエピタキシャル成長する。これに対して、(111)B面基板上では、成長初期段階においてはA面の場合と同様な配向方位を示すが、膜厚の増大に伴い、A面の場合には見られない配向方位のゆらぎが生じることが明らかとなった。この配向方位のゆらぎは、In膜厚の増大とともに、その最安定配向方位が変化するために起こると考えられる。この要因としては、基板の極性以外にも、基板温度、Inの粒径、基板表面の超構造及び組成等が考えられ、これらの諸因子の本質を明らかにするためにも、さらなる解析が望まれる。 このように、InSb{111}上では本来fct構造をもつInが蒸着初期段階においてfcc構造をとり、しかも基板の極性によってそのエピタキシ-に明瞭な差のあることが明らかとなった。これらの実験事実はエピタキシ-のからくりを知る上で新しい観点の導入、すなわち、従来の格子整合性といった幾何学的観点以外に、基板と蒸着物との化学結合の大きさ方向といった新たな観点からのアプロ-チが必要であることを示唆している。
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