研究概要 |
1.アルコール溶媒系における各種ゼオライトの生成領域:アルコール系におけるゼオライト合成の研究例は極めて少ないものの、アルコールが溶媒のみならずテンプレートとしても作用する可能性が示唆されている。本研究では、分子の構造とサイズを考慮し、エチレングリコール(EG)、プロパノール、その他数種のアルコールを用いて合成実験を行ったところ、EGが最も優れた溶媒であり、〔1〜3NaOHー0.1〜0.5Al_2O_3ーSiO_2ー10EG〕系の反応混合物から、170〜190℃、1〜14dの条件でソーダライト型のゼオライトが結晶化することを明らかにした。isoープロパノール系でもソーダライトの結晶化が幾分認められたが、その他のアルコール系ではゼオライトの結晶化は起こらなかった。 2.ハイシリカソーダライトの新規合成法:上記の系において、シリカ源として液状化合物のテトラエトキシシラン〔(C_2H_5O)_4Si〕を用いたところ、ソーダライトの結晶化速度が大きくなり、2〜10μm径の均一な球状晶が生成することが新たにわかった。最適合成条件として、NaOH/SiO_2比=2.0,Al_2O_3SiO_2比=0.1〜0.3,EG/SiO_2比=10,温度190℃,時間1〜2週間が得られた。また、Al_2O_3が無い場合には、上記の条件ではソーダライトは結晶化せず、逆にAl_2O_3/SiO_2比が大きい場合にはαーAl_2O_3の副生が認められるようになった。生成ソーダライトの性状を調べたところ、細孔およびケージ内に溶媒のEGが取り込まれていることが推測された。加熱処理したところ、白色から褐色を経て黒色(900℃)となったが、比表面積は約50から90m^2/gと大きな変化はなかった。また、水やnーヘキサンによる溶媒抽出を行ったが、比表面積はほとんど変らなかった。以上の結果から、生成物内のEGを完全に除去することはできなかったものの、EG系では水溶液系よりも優先的にソーダライトが結晶化することがわかった。速度論的検討は時間の関係上、63年度中できなかった。
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