研究概要 |
ジアルキル亜鉛は最も早く知られた有機金属化合物の一つであるが、求核反応性に乏しいことから、単純な反応が知られていたに過ぎない。 最近、トリアルキル亜鉛アート錯体のα、β-不飽和ケトンへの共役付加が注目された。われわれは、この亜鉛アート錯体の共役付加反応活性基として、単純アルキル基に止まらず、官能基を含む有機基が利用できることを初めて報告した。すなわち、アセトンのβ-メトキシエチルアミンとのイミンを脱プロトンして生じるアザエノラートをジメチル亜鉛と反応させて混合亜鉛アート錯体とすると、シクロペンテノンにアセトニル基を共役付加させることができた。この際アミン成分(1S,2R)-1,2-ジフェニル-2-メトキシエチルアミンを用いると、この光学活性助剤の影響で、極めて高いエナンチオ面選択が達成された(式1)。注目すべきはこの場合、加水分解の前に、活性ハロゲン化アルキルによるエノラート捕捉が可能で、これによって1,2-二置換シクロペンタノン誘導体の新規合成法が見出された。すなわち、スキームに示すジャスモノイド(A)、およびプロスタノイド(B)の合成ルートを検討した。
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