研究課題/領域番号 |
63550652
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金政 修司 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (20038590)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | N-メタル化アゾメチンイリド / 立体選択的環状付加反応 / 1,3-双極子 / Michael反応 / アミノ酸 / 5-オキサゾリジノン / 脱炭酸 |
研究概要 |
複素環を合成ブロックとして利用する新しい有機合成反応を確立するためには、高度に立体選択的に多官能化された複素環を容易に合成できる優れた方法の開発が必須であるとの観点に立脚して、本研究では複素環の構築をアゾメチンイリド1,3-双極子の環状付加反応で行うこととし、従来のイリドには見られない特徴を備えた新しいアゾメチンイリドの開発を行った。まず、本申請者らが最近見いだしたN-リチオ化アゾメチンイリドの研究を更に進展させ、イミンの窒素原子上の金属としてナトリウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどをもつ新しいN-メタル化イリドの発生に成功した。これらのイリドと電子不足オレフィンとの環状付加反応は、1)キレーション遷移状態を経て高立体選択的に進行すること、2)途中にMichael付加生成物を経る段階的な反応であること、3)反応条件を制御することによってMichael付加体の生成を優先させることが可能である、などの新知見を得た。窒素原子上の金属がマグネシウム、アルミニウムなどのようにヘテロ原子に強くキレーションを起こす場合は環状付加反応の立体選択性が極めて高いのに対し、ナトリウムのように陽性な金属の場合はキレーションの寄与が減じ全く異なる立体選択性を示す。一方、これも本申請者らによって最近開発されたアミノ酸とカルボニル化合物との脱炭酸を伴う縮合反応を経るアゾメチンイリドの発生法を更に深く検討した。その結果、1)5-オキサゾリジン体が反応中間体であること、2)脱炭酸は共奏的に起こるため発生するイリドの立体化学は中間体のそれを忠実に反映すること、3)この反応にはアセトアルデヒド以外の全てのアルデヒドの使用が可能であること、を明らかにできた。これらの成果によって、立体選択的な複素環合成への道が大きく拓かれたと言える。合成された複素環を合成ブロックとする有機合成の研究が現在鋭意進行中である。
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