研究概要 |
空気-水界面において安定な単分子膜を形成することが知られているポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリアクリル酸メチル(PMA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の中からPEO-PMMA,PEO-PVAc,PVAc-PMA,PVAc-PMMAの4種類の混合膜について表面圧測定を行った。さらに、PEO-PMMAおよびPVAc-PMA混合膜については、空気-水界面に吸着したそれら吸着層厚さおよび屈折率が得られるエリプソメトリ-による測定も行った。 1)表面圧測定より、一定表面圧における表面積あるいは崩壊圧と混合組成のプロットからPVAc-PMMA膜を除き、全ての混合膜は互いに相溶することが分った。特に、PVAc-PMA膜はその化学構造が似ていることを反映してほぼ理想的に混合することが明らかになった。さらにこれら相溶性は固体状態(三次元状態)における相溶性に相関があることが分った。 2)エリプソメトリ-の測定により、PEO-PMMA膜の吸着層厚さは、その混合組成を変えても15-20Åと薄くなり、これはPEOあるいはPMMAのそれぞれの単独膜の吸着層厚さが共に15Å以下であることに対応している。一方、PVAc-PMA膜の吸着層厚さは、濃度と共に増加し、表面圧が一定値となる表面濃度以上では150Åという厚い吸着層となった。この吸着層厚さは、PMA単独膜の厚さ、25ÅよりむしろPVAc単独膜の厚さ、150Åに近くなることが明らかになった。
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