研究課題/領域番号 |
63550672
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子物性・高分子材料
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
浦上 忠 関西大学, 工学部, 教授 (80067701)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 有機液体混合物 / 親水性高分子膜 / 疎水性高分子膜 / アルコ-ル水溶液 / 浸透気化法 / 気化浸透法 / 温度差制御 / 透過分離機構 / アルコ-ル水溶液の分離 / 選択性 / キトサン / アルギン酸 / ポリスチレン / ポリ塩化ビニル / ポリジメチルシロキサン / 高分子膜 / アルコール水溶液 / 透過 / 分離 / 供給液温度 / 生成膜構造 / 溶解過程 / 拡散過程 |
研究概要 |
有機液体混合物の透過と分離にすぐれる高分子膜の調製を目的として、種々の膜材料を用いて浸透気化法によるアルコ-ル水溶液の透過分離特性に及ぼす成膜条件の影響を検討した。キトサンなどの親水性高分子膜ではアルコ-ル水溶液から水を優先して透過した。しかし、ポリ塩化ビニルなどの疎水性高分子膜ではアルコ-ルを優先的に透過せずに、親水性高分子膜と同じように水を優先的に透過した。これらの現象を解明するため膜内吸着組成を調べると、親水性高分子膜では水が、疎水性高分子膜ではアルコ-ルが明らかに優先吸着していることを知った。結局、浸透気化法の膜透過において、透過種の膜中への溶解性を増すだけでは十分な透過分離性能を得ることができず、透過種の膜内拡散性を上げることの重要性が浮きぼりにされた。膜の熱処理、架橋反応などによる膜の構造変化と分離機能との関係を分子レベルで検討した結果、膜構造のごく僅かな変化が透過分離特性に微妙に影響することを知り、高分子膜の構造設計に重要な指針を得ることができた。浸透気化法は膜の膨潤が著しく、膜のもつ本来の分離機能の発現に不利のように思えた。そこで、本研究において気化浸透法という新しい膜分離法を提案し、浸透気化法の結果と比較検討した。一般に、気化浸透法は分離性では浸透気化法に比べはるかに優れているが、透過性では劣る傾向にあった。一方、気化浸透法では供給液と膜近傍に温度差を与えることができ、ポリジメチルシロキサン膜のようなアルコ-ル選択膜でアルコ-ル水溶液を処理すると著しい分離性の向上がみられた。また、キトサン膜によるジメチルスルホオキシド水溶液の分離においても高い透過性と分離性がみられた。これらの透過分離機構が物理化学的な観点から考察された。
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