研究課題/領域番号 |
63550708
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学工学
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
寺本 正明 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60026086)
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研究分担者 |
松山 秀人 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (50181798)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 溶媒抽出法 / 液幕法 / 水溶性錯化剤 / 希土類元素 / 非平衡分離 / 液膜法 / 酸性有機リン化合物 |
研究概要 |
本研究では、水溶性錯化剤を共存させた溶媒抽出法および液膜法による希土類元素の選択的分離について、分離機構の解明を通して定量的な検討を行った。分離系としては、もっとも分離が困難な系の一つであるEr^<3+>/Y^<3+>系を選択し、水溶性錯化剤としては、diethylenetriaminepentaacetic acid(以下DTPAと略す。)を用いた。 まず水相中における希土類元素錯体の解離機構について検討を行ない、反応機構の解明を通して、各錯体の解離速度定数を求めることができた。DTPA共存下での溶媒抽出法および液膜法の選択性を考察する上で重要な意味を持つ解離速度定数はY-DTPA錯体の方がEr-DTPA錯体に比べて約5.8倍大きいことがわかった。 次に、平面接触攪拌槽および液滴分散系を用いて、DTPA共存下における溶媒抽出法によるEr^<3+>/Y^<3+>の選択的分離を試みた。本系のような非平衡分離操作で得られた抽出速度比は約5.5であり、平衡分離である通常の溶媒抽出法による抽出定数の比(1.43)と比較して格段に大きな値と言える。このような大きな分離比が得られた理由としては、マスキング効果と水相中におけるDTPA錯体の解離速度の差が相乗的に働いていることがわかった。各場合における選択性を系統的に比較し、高選択性の実現には、界面反応律速あるいは水相境膜内におけるDTPA錯体の解離を伴う拡散律速下での操作が望ましいことを明かとした。 さらに、DTPA共存系を用いる分離手法を含浸液膜法に適用した。水相中におけるDTPA濃度が希土類元素総濃度に近づくにつれて選択性は増加し、また高担体濃度も選択性に対して有利であることが明かとなった。このように、水相境膜内におけるDTPA錯体の解離を伴う物質移動が律速である場合にもっとも高い選択性が得られるというのは、本分離の特徴である。
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