研究概要 |
前年に引き続き,当研究所が保有するオオムギ約5千品種と,オオムギ品種ふじこ条に3世代にわたって合計90KRのガンマ-線を種子照射した約1万4千系統を対象として,分子・細胞マ-カ-に利用できる変異体の検索と遺伝解析を行なった。 除草剤「バスタ乳剤」に対する感受性の品種変異を検定し,高度感受性ならびに低感受性の品種を見出した。 フェノ-ル反応は第2染色体に座乗する1個の文働遺伝子に支配されることが明らかにされたが,詳細に調べると芒と穀皮および穀粒の反応はくい違っており,フェノ-ル反応に器官特異性があるとみられた。 高温条件下で発現するアルビノ遺伝子は第1染色体上の密穂遺伝子の極く近くに座乗するとみられたので,その位置を確定した。この高温感受性アルビノ遺伝子はカルス生長の温度反応には影響しないことが明らかにされた。 有機燐剤ダイアジノンに対する感受性は第1染色体に座乗する1個の主働遺伝子に支配されることが確認された。完熟胚由来のカルスの生長に対するダイアジノンの効果を解析した結果,ダイアジノン感受性遺伝子はカルスレベルでは発現しないことが明らかにされた。 ふじこ条に由来するガンマ-線照射後代に多数の雄性不稔系統,形態変異ならびに葉緑体変異が見出されたので,その系統維持および交配実験を始めた。 貯蔵デンプンのモチ性検定を行い,新たなモチ系統を見出した。
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