研究概要 |
本研究課題は実施初年度から農林水産省生物資源研究所と北陸農業試験場のRFLP研究グル-プと共同研究を行った。初年度は、インド型品種Kadalathと日本型標識遺伝子系統FL134との日印交雑F_2約140個体を用い、RFLP連鎖分析を行った結果、数個の形態形質遺伝子とアイソザイム遺伝子を含む、約250個のRFLPマ-カ-からなるRFLP連鎖地図を作成した(矢野ら1989,Kishimoto et al.1989).このRFLP連鎖地図は座乗染色体既知の標識遺伝子を指標に、6連鎖群(染色体4,5,6,8,9,11)については、所属染色体を明らかにできたが他の連鎖群については不明であった。そこで本年度は、RFLP連鎖群の染色体決定をTrisomicsを用いて行った。また、RFLP連鎖地図と一般連鎖地図の対応の試みとして、白葉枯病抵抗性遺伝子Xa-1,Xa-2をRFLP連鎖地図に位置づけた。 Trisomics利用によるRFLP連鎖群の染色体決定には2手法を用いた。まず、日印交雑から得られた過剰染色体の異なる9型のTrisomicF_1の遺伝子量効果を利用し、RFLP連鎖群と染色体との対応を調べた。その結果、染色体1,7,10,12に対応するRFLP連鎖群を見いだすことができ、染色体3,4,6,9については初年度の結果を確認できた。次に,過剰染色体1,2,7,10をもつ日本型Trisomicsにインド型品種を交配して得られたF_2において、RFLPマ-カ-の分離をみた。その結果、染色体2に対応するRFLP連鎖群がみつかった。以上、イネの12の染色体のうち9染色体(染色体、1,2,3,4,6,7,9,10,12)については所属RFLP連鎖群を発見、確認し、初年度の結果を合わせるとすべての染色体に対応するRFLP連鎖群を決定できた。 染色体11に座乗するイネ白葉枯病抵抗性遺伝子Xa-1とXa-2とRFLPマ-カ-との連鎖分析を行い、lg-Ph-Xa-1-Xa-2-120-102の配列を推定した。また、一般連鎖地図とRFLP連鎖地図の比較検討を行った。
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